フェイクニュースにだまされるな!『ファクトチェック』で安心・安全なデジタル社会へ

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インターネットの普及により、あらゆる情報を瞬時に簡単に入手できるようになった。しかし一方で、誤情報や偽情報がSNSを通じて急速に拡散されてしまい、ネット利用者は健全な情報を判断しにくくなるという負の側面も生まれている。誤情報や偽情報は市民の理性的な判断を妨げるおそれがあり、社会の分断にもつながりかねない。

最近では米国大統領選挙や日本学術会議関連で多くの誤情報や偽情報が出回ったが、とりわけ問題視されているのは新型コロナウイルスに関する情報だ。「◯◯◯が新型コロナウイルスに効く」「◯◯◯を飲むと新型コロナウイルス予防に効果がある」といった真偽不明な情報に触れたことがある人は少なくないだろう。

総務省の調査によると、4人中3人が新型コロナウイルスに関する誤情報や偽情報に「ひとつでも見たり聞いたりした」ことがあると回答。また、若い世代ほど正しい情報と信じてしまう傾向があり、SNSなどを通じて共有・拡散してしまった経験がある比率が高いことがわかった。

新型コロナウイルスに限らず、世の中に出回るあらゆる情報について、信頼性の高い情報源の選択や、情報の真偽に対する意識を一人ひとりが持つことが重要となる。

誤情報に惑わされにくい健全な社会を

誤情報や偽情報が氾濫するなか、世界的に注目されているのが「ファクトチェック」だ。日本におけるファクトチェックの推進・普及活動を行うNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(以下FIJ)の楊井人文(やない・ひとふみ)さんによると、ファクトチェックは誤情報や偽情報に惑わされにくい健全な社会を構築するうえで欠かせないものだという。

NPO法人ファクトチェック・イニシアティブ 理事兼事務局長/弁護士 楊井人文さん

「ファクトチェックとは、社会に広がる情報の真偽を第三者が調査・検証し、そのプロセスを記事化して正確な情報を人々と共有する営みのことです。単なる『事実確認』とは似て非なるもので、FIJでは『真偽検証』という訳語をあてています。日本におけるファクトチェックの取り組みは海外に比べて遅れをとっていましたが、近年その活動の必要性がようやく認識されつつあります」

ファクトチェックの大切さを広く伝えるために、そしてその担い手を広げるために、FIJは国内外の動向調査や情報発信、メディアと市民の協働プロジェクト、ファクトチェックメディアへの技術的な支援などさまざまな活動を行っている。

ファクトチェックの取り組みについて意見交換を行うメディアパートナー会議

FIJによるファクトチェック支援概念図

ファクトチェックの担い手を広げる

FIJはファクトチェックの普及活動の一環として、2020年8月、KDDIグループの社会貢献活動の一翼を担う公益財団法人 KDDI財団のサポートのもと、ウェブアプリ「ファクトチェック・ナビ」をリリースした。

ファクトチェック・ナビでは、毎日新聞社、産経新聞社、バズフィードジャパンをはじめとするメディアパートナーによるファクトチェックの成果をニュース形式で公開しているとともに、一般の市民ユーザーにも広く情報提供を呼びかけている。

「ファクトチェックは一部の限られたメディアだけが行うものではなく、また検証によって導き出される答えもひとつとは限りません。大切なのは、団体か個人かを問わず、数多くの主体がファクトチェックを実践すること。ファクトチェック・ナビで一般市民の参加を促しているのは、より多くの人がファクトチェックに参加できる仕組みを構築することが、誤情報に惑わされにくい環境を生み出し、社会の分断を抑止する有効な手立てになると考えるからです」(楊井さん)

KDDI財団が助成を行う狙いとは

KDDI財団にて助成事業を担当する吉田真奈美と榊香緒里は、FIJに助成を行う狙いを次のように語る。

KDDI財団 助成・企画管理部 吉田真奈美(左)、榊香緒里(右)

「私たちKDDI財団は、現在、調査研究助成、留学生助成など、計9つの助成プログラムを実施しています。FIJさまへはICT(情報通信技術)を通じて社会、教育などの課題解決に貢献するNPOやNGOなどへの助成プログラムである『社会的・文化的諸活動助成』で支援をしました。フェイクニュースが氾濫する昨今、FIJさまへの助成を通じて、市民の情報リテラシーを高めることは公共性が高く、今後のICTの発展において重要なことだと考えます」(KDDI財団 助成・企画管理部 吉田真奈美)

「KDDI財団ではKDDIと同様にSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを進めています。安心で豊かなデジタル社会の構築も目標のひとつであり、ファクトチェックの普及を目指すFIJさまの活動は当財団の理念である『ICTの恩恵を広く社会に還元し、情報通信による世界の調和、健全な発展に寄与すること』にも合致しています」(KDDI財団 助成・企画管理部 榊香緒里)

安心・安全なデジタル社会の構築のために、そして社会の持続的な発展のために。KDDIグループはこれからも、より良い社会の実現を目指し、通信事業者としてさまざまな取り組みを進めていく。

ファクトチェック:大江健三郎氏の「電気はいらない!」プラカード写真はフェイク画像 ツイッターで拡散

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ノーベル文学賞作家の大江健三郎さんがタクシーの中から笑顔で「電気はいらない!」と書かれたプラカードを掲げる――。そんな画像がツイッターを中心に拡散され続けている。しかし、実際に大江さんが掲げていたのは「原発はいらない!」と書かれたカードで、「電気」の部分だけが合成された虚偽の画像だった。著作権侵害の可能性も指摘されている。【古川宗/統合デジタル取材センター】

4800件のRTと1・8万の「いいね」

問題の大江さんの画像は、今月12日、ツイッター上で、「大波コナミ_bot(cv:幡宮かのこ)」というアカウントから発信され、28日午後6時までに、約4800件のリツイート(RT)と、1・8万の「いいね」がつき、拡散を続けている。このツイートには「電気が無かったら死ぬだろー」「こういう方々は、電気解約して、ブレーカー撤去して暮して見ればいいのに」といった批判的なリプライ(返信)が寄せられている(【追記】当該ツイートはこの記事の掲載後に削除された)。

同じ画像が2012年ごろからSNS上でたびたび拡散されており、今回拡散された画像もそれを転用した可能性が高い。

元画像は週刊ポストの写真

この画像をグーグルの画像検索にかけたところ、「週刊ポスト」の記事などを掲載する小学館のサイト「NEWSポストセブン」で大江さんが「原発はいらない!」と書かれたカードを持つ同じ構図の画像が見つかった。2011年9月19日に東京都内で開かれた脱原発集会の様子を報じた記事と共に同26日に配信されている。大江さんの服装やタクシーの車体の番号も一致しており、違うのは「原発」という2文字だけだ。

週刊ポスト編集部は毎日新聞の取材に対し、「弊誌およびNEWSポストセブンに、『大江健三郎氏が<原発はいらない!>と掲げる写真』を掲載したことは事実です。その写真(『電気はいらない!』と書かれた写…

PWA版「Twitter」アプリでもコミュニティ主導のファクトチェック“Birdwatch”のテスト開始 ~米国で

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米Twitterは1月25日(現地時間)、PWA版「Twitter」アプリをアップデートした。“mobile.twitter.com”やWindows 10向け「Twitter」アプリ、Android向け「Twitter Lite」アプリなどに新機能の追加と改善が施されている。

今回のアップデートの目玉は、米国で始まったパイロットプログラム“Birdwatch”だ。これは風説や誤情報の拡散を防ぐために考案された仕組みで、ユーザーは誤解を招くと思われるツイートに文脈の補足や誤りを訂正するためのメモを追加できる。“Twitter”には誤解を招きかねないツイートにラベルを付ける機能があるが、これは運営側が行うものだ。“Birdwatch”はコミュニティ主導で行われるのが大きな特徴といえるだろう。

なお、この機能はまだ米国の一部ユーザーでテストされている段階だ。日本ではメモを追加できないので注意したい。

そのほかにも、誤情報としてフラグが立てられたツイートにリアクション(いいねやリツイート)した際に確認のプロンプトが表示されるようになった。また、ダイレクトメッセージ(DM)の受信トレイにメッセージリクエストが届いたときに、ソーシャルコンテキストの情報(誰からフォローされているかなど)が表示されるようになった。DMを開くかどうかの判断に役立てることができる。

ユーザーインターフェイス関連では、サイドのナビゲーションバーが折りたたまれているとき、アイコンがどんな機能を持つのかを説明するホバーラベルが追加された。リツイートボタンを押すと引用リツイートの編集画面が開く仕様も元に戻され、ボタンを押すと通常のリツイートと引用リツイートを選ぶポップアップが表示されるようになる。

Windows 10向け「Twitter」アプリは現在、“Microsoft Store”から無償でダウンロード可能。“twitter.com”をデスクトップアプリとしてパッケージングしたPWA(Progressive Web Apps)になっているため、わざわざ「Twitter」アプリを更新しなくてもWebでの改善が反映される。