第4回ABEMAトーナメント ~本戦トーナメント2回戦第二試合・チーム木村VSチーム稲葉 事前特集~ 8月14日放送|将棋コラム|日本将棋連盟

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ライター: 相崎修司 更新: 2021年08月12日

お~いお茶presents第4回ABEMAトーナメント、8月14日(土)には、本戦トーナメント2回戦第二試合が放映される。対戦カードは予選Cリーグ1位のチーム木村「エンジェル」(木村一基九段、佐々木勇気七段、池永天志五段)対、本戦1回戦でチーム斎藤を破ったチーム稲葉「加古川観光大使」(稲葉陽八段、久保利明九段、船江恒平六段)だ。まずは両チームのABEMAトーナメントにおける成績を紹介する。

ABEMAトーナメントにおける個人成績 棋士名 勝敗 相手 木村一基九段 10勝2敗 谷川浩司九段に2勝0敗、高見泰地七段に2勝1敗、以上が第3回。

第4回では豊島将之竜王に1勝0敗、羽生善治九段に1勝0敗、佐藤紳哉七段に1勝0敗、中村太地七段に0勝1敗、大橋貴洸六段に1勝0敗、佐々木大地五段に2勝0敗 佐々木勇気七段 4勝7敗 三浦弘行九段に1勝2敗、菅井竜也八段に1勝2敗、以上が第3回。

第4回では豊島将之竜王に0勝1敗、羽生九段に1勝1敗、中村太七段に0勝1敗、大橋六段に1勝0敗 池永天志五段 1勝3敗 第4回が初参加で、豊島竜王に1勝0敗、羽生九段に0勝1敗、中村太七段に0勝1敗、佐々木大五段に0勝1敗 稲葉陽八段 6勝6敗 佐藤天彦九段に0勝2敗、石井健太郎六段に2勝0敗。以上が第3回。

第4回では三浦九段に0勝1敗、斎藤慎太郎八段に1勝0敗、村山慈明七段に0勝1敗、高見七段に1勝1敗、都成竜馬七段に1勝0敗、高野智史五段に1勝0敗、本田奎五段に0勝1敗 久保利明九段 10勝6敗 豊島竜王に2勝1敗、谷川九段に1勝0敗、佐藤康光九段に1勝0敗、森内俊之九段に0勝1敗、本田五段に2勝0敗。以上が第3回。

第4回では三浦九段に1勝0敗、斎藤八段に0勝1敗、村山七段に1勝0敗、高見七段に0勝1敗、都成七段に1勝0敗、本田五段に1勝1敗、伊藤匠四段に0勝1敗 船江恒平六段 4勝5敗 第4回が初参加で、藤井聡太王位・棋聖に1勝1敗、三浦九段に1勝0敗、斎藤八段に0勝1敗、村山七段に0勝1敗、都成七段に1勝0敗、高野智五段に1勝1敗、伊藤匠四段に0勝1敗

チーム木村は予選Cリーグでチーム豊島に5勝2敗で勝った一方、チーム羽生には2勝5敗で敗れている。爆発力ともろさを同時に持ち合わせているという感じだ。それでもCリーグで1位通過を果たしたのはプレーオフで連勝した木村九段の強烈なリーダーシップによるものだろう。個人成績を見てもそれは如実に表れている。今回が本戦初登場となる「エンジェル」は事前動画で、東京タワーの階段を600段登り切ることにチャレンジ。本番に向けて体力と気力を鍛えた。

対するチーム稲葉はここまでの3試合中、2試合で最終第9局を体験している。対局数を見てもわかるように経験ではどのチームにも負けなさそうだ。地元、加古川からの応援をエネルギーと変え、熱戦を制することができるか。

8月14日(土)17時から始まる生放送をどうぞお楽しみに。

ABEMAトーナメント

チーム稲葉VSチーム斎藤 第4回ABEMAトーナメント~本戦1回戦 第二試合振り返り~|将棋コラム|日本将棋連盟

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ライター: 相崎修司 更新: 2021年08月04日

お~いお茶presents第4回ABEMAトーナメント、7月31日(土)に放映された本戦トーナメント1回戦第二試合は予選Aリーグ2位のチーム稲葉「加古川観光大使」(稲葉陽八段、久保利明九段、船江恒平六段)対、予選Eリーグ2位のチーム斎藤「ここ一番」(斎藤慎太郎八段、村山慈明七段、都成竜馬七段)だ。両チームによる団体戦の模様をお送りする。

振り駒の結果、奇数局が「ここ一番」の先手番となる。第1局は稲葉―都成戦で、相掛かりから後手の稲葉がタテ歩取りに出る。その結果として後手玉の陣形は美濃囲いとなり、部分的には居飛車対振り飛車の対抗形のような形となった。結果は終始、落ち着いた指し回しを見せた稲葉が勝利し、「加古川観光大使」がまずは先勝。

「さすがリーダーですね、振り飛車もお手の物」とは、作戦部屋に戻ってきた稲葉を称えた久保の言葉である。

続く第2局は稲葉―斎藤のリーダー対決に。「予定通り(2戦目も)私が行きたいと思います」と稲葉が語っていたことから、予定の連闘だった。対する斎藤も「次の作戦は決まっているんですね。私、斎藤が」と、ガッツポーズをみせて出陣する。戦型は第1局に続いて相掛かりとなったが、中盤で王手飛車を掛けた稲葉がリードを奪って押し切り、2連勝。

【第3局 村山慈明七段―稲葉陽八段】

そして第3局ではまたも稲葉が登場。勢いに乗っての3連勝となれば2回戦進出に大きく前進する。対してここで一番返さないと一気に首筋が寒くなるチーム斎藤は、村山を送り出した。

第3局の戦型は角換わりに。終盤の入り口では、はっきり村山よしと思われたが、稲葉が頑強な粘りを見せて入玉を果たした。だが持将棋成立には後手の駒が足りなそうである。

【第1図は▲5一竜まで】

そうして迎えた第1図。先手の村山玉は入玉ほぼ間違いなしという状況だが、ここで稲葉が放った△9五金が勝負手。「すごい手ですね」と解説の村中秀史七段が思わず声を上げた。▲同金は7五の馬のひもが切れるし、▲同玉は入玉へ一歩遠ざかる。

村山は▲8三玉と入玉を確定させた。以下は△8六金▲同馬△6五と▲9五馬△7五と▲9四銀△7四と▲9二玉△8四金▲同桂△同と▲8六馬……と、後手が先手の馬を捕まえられるかどうかの勝負となったが、村山が辛くも逃げ切り、チームに初白星をもたらした。「一番うれしい勝ち、じめこ神」とは思わずもれた斎藤のつぶやきである。

だが、第4局の船江―都成戦、第5局の久保―村山戦を相次いでチーム稲葉が勝ち、勝ち抜けに王手をかけた。

【第6局 船江恒平六段―斎藤慎太郎八段】

後がなくなった「ここ一番」は第6局で斎藤が再登場。船江を下して徳俵で踏みとどまると、第7局でも斎藤が連闘し、今度は久保を破った。

【第2図は▲2八飛まで】

第2図は第6局の船江―斎藤戦。ここで△3九角と打つのは▲3八飛△8四角成の瞬間がやや甘い。斎藤の指した△6六歩は△3九角をより効果的にする予備工作で、▲同歩なら△3九角▲3八飛△6六角成が9九の香当たりになるという理屈である。船江は△6六歩に対し▲5五銀と補強したが、△8八歩がまたプロなら第一感ともいうべき手裏剣の歩で、▲同金は壁になる。実戦の▲7七桂には△8九歩成とと金を作った斎藤がリードを奪って押し切った。

【第9局 都成竜馬七段―久保利明九段】

リーダーが勢いをつけたか、第8局では村山が船江を破ってついにチーム斎藤がタイに追いついた。全てを決める最終第9局は久保―都成戦。再び行われた振り駒の結果、都成の先手番となる。それぞれ、

「一番棋譜並べてきた先生なので、全力でぶつかります」(都成)

「座右の銘である前後際断の通りに最終局へ臨みます」(久保)

と、対局前に意気込みを語った。

戦型は久保の四間飛車対、都成の居飛車という対抗形に。中盤では都成がリードを奪ったが、さばきのアーティストではなく粘りのアーティストの一面を発揮した久保は決定打を許さずについて行く。そうして迎えたのが第3図だ。

【第3図は△8八金まで】

この金を角と玉のどちらで取るかが明暗を分けたか。都成は▲8八同角と角で取ったが、△7八金▲9八玉△8八金▲9七玉に△7五角が王手と同時に▲9三桂成以下の詰みを消す攻防手となった。以下は都成の頑張りを的確に振り切った久保が勝利し、チームの勝ち抜けを決めた。戻って第3図では▲8八同玉ならば△6八竜に▲7八金△7六桂▲8九玉で危ないようでも先手玉は耐えていたが、これはもう指運というしかないだろう。「勝ち負けを別にしてもいい将棋を指せたので満足している。将棋に命を懸けている棋譜を見せることが出来た」とは最終局を戦い終えた久保の言葉である。

久保VS都成 対局終了直後

本戦トーナメント1回戦第二試合の最終結果は以下の通り

第1局 稲葉◯-●都成

第2局 稲葉◯-●斎藤

第3局 稲葉●-◯村山

第4局 船江◯-●都成

第5局 久保◯-●村山

第6局 船江●-◯斎藤

第7局 久保●-◯斎藤

第8局 船江●-◯村山

第9局 久保◯-●都成

総合「加古川観光大使」5勝―4勝「ここ一番」

次週は本戦トーナメント2回戦第一試合、予選Dリーグ1位のチーム永瀬「川崎家」VS予選Eリーグ1位のチーム渡辺「ホームラン」という対戦となる。8月7日(土)17:00~の放映をどうぞお楽しみに。

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第4回ABEMAトーナメント ~本戦トーナメント1回戦第二試合・チーム稲葉VSチーム斎藤 事前特集~ 7月31日放送|将棋コラム|日本将棋連盟

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ライター: 相崎修司 更新: 2021年07月29日

お~いお茶presents第4回ABEMAトーナメント、7月31日(土)には、本戦トーナメント1回戦第二試合が放映される。対戦カードは予選Aリーグ2位のチーム稲葉「加古川観光大使」(稲葉陽八段、久保利明九段、船江恒平六段)対、予選Eリーグ2位のチーム斎藤「ここ一番」(斎藤慎太郎八段、村山慈明七段、都成竜馬七段)だ。まずは両チームのABEMAトーナメントにおける成績を紹介する。

ABEMAトーナメントにおける個人成績 棋士名 勝敗 相手 稲葉陽八段 4勝5敗 佐藤天彦九段に0勝2敗、石井健太郎六段に2勝0敗。以上が第3回。

第4回では三浦弘行九段に0勝1敗、高見泰地七段に1勝1敗、高野智史五段に1勝0敗、本田奎五段に0勝1敗 久保利明九段 8勝5敗 豊島将之竜王に2勝1敗、谷川浩司九段に1勝0敗、佐藤康光九段に1勝0敗、森内俊之九段に0勝1敗、本田五段に2勝0敗。以上が第3回。

第4回では三浦九段に1勝0敗、高見七段に0勝1敗、本田五段に1勝1敗、伊藤匠四段に0勝1敗 船江恒平六段 3勝3敗 第4回が初参加で、藤井聡太王位・棋聖に1勝1敗、三浦九段に1勝0敗、高野智五段に1勝1敗、伊藤四段に0勝1敗 斎藤慎太郎八段 6勝6敗 藤井王位・棋聖に0勝1敗、永瀬拓矢王座に0勝1敗、山崎隆之八段に2勝0敗、石井六段に1勝2敗。以上が第3回。

第4回では渡辺明名人に1勝0敗、小林裕士七段に1勝0敗、梶浦宏孝七段に0勝1敗、近藤誠也七段に0勝1敗、藤森哲也五段に1勝0敗 村山慈明七段 2勝2敗 第4回が初出場で、小林裕七段に1勝0敗、戸辺誠七段に0勝2敗、藤森五段に1勝0敗 都成竜馬七段 7勝7敗 渡辺名人に1勝0敗、谷川九段に2勝1敗、野月浩貴八段に2勝1敗、近藤誠七段に0勝1敗、石井六段に0勝1敗。以上が第3回の成績。

第4回では渡辺名人に0勝1敗、小林裕七段に0勝1敗、戸辺七段に1勝0敗、梶浦七段に1勝0敗、近藤誠七段に0勝1敗

両チームの成績を見ると、久保の勝ち越しが目につく程度で、チームとしては白星と黒星が均等に散らばっている形だ。それでも本戦への切符を勝ち取ったのはチームワークの良さが成したものと言える。

直前に公開された事前企画では、チーム稲葉が、地元の加古川を訪れて応援メッセージを受け取り、優勝への思いを新たする。故郷へ錦を飾ることができるか。

対してチーム斎藤は闘魂を注入すべく、キックボクシングジムを訪れてトレーニング。サンドバックをたたいたエネルギーを、ここ一番で発揮するかどうか。

7月31日(土)17時から始まる生放送をどうぞお楽しみに。

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