在北朝鮮大使館 館員の国外脱出が相次ぐ、半数が閉鎖状態に(NEWSポストセブン)

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首都圏は「国家回復計画」第1段階へ移行(マレーシア) | ビジネス短信

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マレーシアのイスマイル・サブリ副首相は7月16日、クアラルンプール市とセランゴール州の多くの地域で7月3~16日に発令していた「強化された移動制限令(Enhanced Movement Control Order:EMCO)」を終了し、「国家回復計画」第1段階へ移行することを発表した(2021年7月2日記事参照)。

首都圏を含む5州・3連邦直轄地が第1段階に

首都圏のEMCOが終わったことにより、セランゴール州、ネグリ・センビラン州、マラッカ州、ジョホール州、ケダ州、クアラルンプール、プトラジャヤ、ラブアンの5州・3連邦直轄地が「国家回復計画(National Recovery Plan: NRP)」第1段階、それ以外の8州がNRP第2段階となった。州や地区をまたぐ移動の禁止、自宅から半径10キロ圏外への移動の原則禁止、飲食店での店内飲食の禁止、小売店の営業時間や乗車人数の制限などの行動制限は第1段階と第2段階で共通しているが、第2段階では操業可能業種が第1段階に比べて拡大し、製造業では出勤率が60%から80%に引き上げられている。詳細は、国家安全保障委員会(NSC)が7月16日付で発表したNRP第1段階 およびNRP第2段階 の標準作業手順書(SOP)(注)を参照。なお、禁止業種・活動、操業可能業種などのSOPの内容は、在マレーシア日本大使館のウェブサイト において日本語でまとめている。

第1段階から第2段階への移行については、(1)人口10万人当たりの感染者数が12.2人以下を閾値(いきち)として過去7日間の平均が本値を超えないこと、(2)集中治療室(ICU)の利用状況が適度なレベルに回復、(3)ワクチンを2回接種した人の成人人口比率が10%以上となっている。ワクチンの接種率は全ての州・連邦直轄地で10%を超えているが、第1段階の対象地域では、首都圏を中心に依然として感染者数、ICU利用率が高い状況が続く。また、ICUだけでなく、新型コロナウイルス患者を受け入れる病院の病床占有率も高まっている。

日系企業では、特に製造業の多くで、集団ワクチン接種プログラムへの申請と準備を進めているが、承認に時間がかかっている点が課題となっている。

(注)マレー語のみ。

(田中麻理)

在外邦人の支援は重要な経済戦略~新型コロナ感染の急拡大するアジア諸国(中村智彦)

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・同胞である在外邦人の安全の確保と支援を

ASEAN諸国は、日本の貿易相手としては、アメリカ、中国に次ぐ貿易額を持つ重要なパートナーである。我が国の今後の経済、政治の戦略的にも、重要な地域、国であることは間違いない。

こうしたASEAN諸国との貿易や経済、文化の繋がりを支えているのは、我々の同胞である在外邦人の人たちである。「海外に住むのは自己責任だ」と支援が不要だと批判する意見もあるが、それは非常に一面的な捉え方であり、今後の我が国の国際的な地位を安定的に維持するためにも、まず同胞である在外邦人の安全の確保と支援が重要である。

・タイ8万人、マレーシア3万人、インドネシア1万8千人・・・

外務省の資料によれば、2017年10月の段階で、在外邦人はタイに約8万人、マレーシア約3万人、ベトナム約2万3千人、インドネシア約1万8千人、フィリピン約1万7千人が在留している。

企業拠点数は、タイ約5千9百、マレーシア約1千2百、ベトナム2千百、インドネシア約2千、フィリピン約1千4百となっている。

インドネシアでの新型コロナの感染拡大と医療崩壊は、国内でも報道され、関心を集めている。しかし、タイ、ミャンマー、マレーシアなど他のASEAN諸国でも感染拡大が止まらず、感染者数が急増し、現地の医療体制がひっ迫した状況となりつつある。すでに日本人の死亡も報告されている。

その大きな影響を受けているのが、これらの国に駐在、滞在している日本人とその家族だ。

東南アジア諸国には多くの邦人が在留している。

・緊急帰国用の臨時便も必要に

インドネシアでは、在外邦人の緊急避難用に7月21日と25日に日本への臨時便が運航されたが、予約が殺到し、さらに航空券代の15万円から20万円程度に加えて待機施設や検査の費用が自己負担であったために、帰国費用が40万円から50万円と高額になった。そのため、多くの批判が寄せられたため、日本政府は26日と28日にも臨時便を運航し、その際には手続きの簡略化と待機施設や検査の費用を政府負担とすると発表した。しかし、1便当たりの乗客定員は200名ほどで、4便合わせても1千名分に過ぎない。

タイからの帰国便に関しては、日本航空、全日空、タイ国際航空などが運航しているが、いずれもすでに8月半ばまで予約がいっぱいの状況だ。

大手企業や政府系機関の中には、駐在員やその家族の一時帰国を決めているところも出てきている。一方、タイに生産拠点を持つ中小企業経営者のように、「大企業と異なり、情報も少なく、生産現場も日本人スタッフがいないと動かない。帰国させたのはやまやまだが、難しい」というのが現状だ。また、大企業の従業員でも「家族の帰国指示が本社から出たが、駐在員はそのままだ」と言う。

臨時便の運航について、タイの航空会社関係者は、「今後、帰国を希望する日本人が増加することが予想されるが、その場合、タイから日本への乗客はいるが、日本からタイはほぼカラの状態。増便といっても、航空会社にとっての負担は大きい。民間企業としては限界がある」と言う。

新型コロナの感染拡大は、インドネシアだけではなく、隣国のタイ、マレーシア、ミャンマーなどでも深刻化しており、在外邦人の緊急帰国やワクチン接種の要望は大きくなっている。

今後、インドネシアだけではなく、周辺国の状況が悪化すれば、邦人救出のために、政府が支援しての臨時便の運航が必要となる。しかし、それだけの航空機の運航や、国内空港での受け入れ態勢を整えることは現実的ではない。

・現地でのワクチン接種の可能性

在外邦人の間からは、日本大使館や日本人学校などでのワクチン接種の実施を求める声も出ている。ツイッター上では、「#在外邦人の現地日本大使館でのワクチン接種を希望します」というタグで、多くの投稿が寄せられている。

日本政府は、在外邦人の帰国ワクチン接種のインターネット予約を7月19日に開始した。日本に一時帰国してワクチン接種を行うことを希望する人たちに対して、成田空港と羽田空港に特設会場を設けるというものだ。この帰国ワクチン接種の対象者は、在外邦人で住民票を持たない接種時に満12歳以上の者となっており、在外邦人でも日本に住民票がある者や、帰国時に転入届を出した場合は対象外となる。

しかし、帰国の費用は大きく、個人、企業への負担も大きい。さらにインドネシアやタイには、日本企業の製造拠点などが数多く存在し、駐在員が帰国できないケースも多い。

現実的な解決方法として、在外大使館や日本人学校などを会場として、在外邦人へのワクチン接種ができないかという提案が、、「#在外邦人の現地日本大使館でのワクチン接種を希望します」である。実際、ベトナムではフランス大使館が18歳以上のフランス国民と配偶者などを対象にワクチン接種を始めているほか、タイではオーストラリア大使館やフィリピン大使館でもそれぞれの自国民に対するワクチン接種を開始している。

・在外邦人の子供たちの教育機会の保障も

タイ・バンコクの日本人学校には小学校、中学校を合わせて約1千人の児童、生徒が2019年には在籍していた。インドネシア・ジャカルタの日本人学校にも、約1千人が在籍していた。そのほかにも、ASEAN諸国では、多くの小中学生が現地で学んでいるが、各国の新型コロナウイルス感染拡大によって、その多くがオンライン授業だけになり、さらに状況の悪化によって、帰国を余儀なくされている。

今後、各国からの家族の帰国を勧告する企業などが増加し、こうした子供たちが日本に帰国する事態が起こるものと思われる。こうした子供たちの教育機会の保障も重要なこととなる。国内の小中学校へのスムーズな受け入れなども、政府、自治体などの支援が必要だ。

さらに、海外の日本人学校への支援も重要となる。事態が鎮静化し、再び家族帯同での海外駐在が可能になった時のためにも、日本人学校の継続は、邦人の教育や日本企業の海外進出のために重要である。

タイは重要な貿易相手国の一つ

・在外邦人の支援は、我が国の経済戦略の一つ

日本の貿易額でみると、アメリカ、中国、ASEAN諸国がほぼ20%ずつという割合になっている。その経済活動は、大企業の駐在員だけではなく、中小企業の駐在員、個人事業主など多くの人たちによって支えられている。

東京オリンピック・パラリンピックが開催され、選手たちの活躍に注目が集まり、訪日外国人選手団や関係者への対応などが話題になる。もちろん、それも重要である。しかし、危機的状況に直面している我が国同胞である在外邦人に対する支援も迅速な対応が必要な重要課題である。

近年、海外転勤を好まない若い世代が増加している。大企業においても、海外事業を担う人材の確保に苦慮している。仮に、今回、在外邦人への支援が手薄であれば、今後、さらに海外転勤を望まない人が増加する可能性もある。経済界のとっても、大きな問題である。

さらに今後も経済発展が期待できるASEAN諸国での我が国の経済活動を維持するためにも、政府による積極的な在外邦人への支援が必要になっている。これは、我が国の経済戦略の一つと言える。

緊急帰国への支援と在外大使館などでのワクチン接種の実施など、新型コロナウイルス感染拡大が危機的な状況にある諸国の在外邦人への早急なる支援が求められる。

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