在アフガン米大使館が機密文書の廃棄 首都陥落を懸念か:朝日新聞デジタル

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アフガニスタン、数日中にタリバンが首都到達 欧米各国、文民退避や大使館閉鎖へ|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

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アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが急速に勢力を拡大し、首都カブールに迫る中、欧米各国による文民退避や大使館閉鎖が相次いでいる。

タリバンは13日も進撃を続け、同国第2の都市カンダハルと第3の都市ヘラートを制圧。米政府高官によると、タリバンが数日以内にカブールに到達する可能性があるという懸念も台頭しているという。

米国防総省の報道官は13日、「現時点でカブールは差し迫った脅威にさらされていないものの、カブールを孤立させようとしていることがタリバンの動きから見て取れる」と述べた。

ロイターが確認した通知書によると、カブールの米大使館は職員に対し「大使館内にある機密情報を減らす」ために文書や電子機器などを廃棄する焼却炉の利用が可能と伝えた。

米国務省の報道官は「米国のフットプリントを最小限とする」通常の手続きと説明した。

ドイツのマース外相は、カブールの独大使館の職員を最小限に減らし、セキリュティを強化すると発表。さらに、大使館職員や現地の支援スタッフらの国外退去に向けて月末に計画していたチャーター機の派遣を前倒しする方針を示した。

フランス外務省もアフガンに滞在する仏国民に対し、できる限り早い時期に出国するよう改めて要請した。

デンマークとノルウェー両国は、現地の治安情勢悪化を踏まえ、カブールの大使館を閉鎖し、職員らを退避させると発表した。

米国と英国も12日、大使館職員ら文民の退避のため数千人の軍部隊を派遣すると発表した。

国連は職員をアフガンから退避させないとしつつも、一部職員を国内でカブールから別の地域に移動させる方針を示した。

グテレス国連事務総長は「軍事力行使による権力掌握に勝ち目はない。内戦の長期化もしくはアフガンの完全な孤立化にしかつながらない」とし、タリバンに対し即時攻撃をやめるよう呼び掛けた。

アフガンのサレー第1副大統領はガニ大統領が議長を務める安全保障会合後、政府軍の能力を評価し、政権がタリバンに対抗するためにあらゆる手段を講じると表明した。

また、治安筋によると、北大西洋条約機構(NATO)は13日に緊急会合を開催し、アフガンの情勢悪化を巡り協議した。

[ロイター]

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欧米の外交スタッフの避難加速、タリバンは首都カブールに近づく

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欧米の外交スタッフの避難加速、タリバンは首都カブールに近づく

2021年8月14日

画像提供, Getty Images 画像説明, カブール近郊の公園に避難した家族

アフガニスタンで反政府組織タリバンの進攻が続く中、外交職員などを出国させるために派遣されたアメリカ軍の第1陣が到着した。他国も続々と、在留市民や公務員を避難させている。

13日には、タリバンは首都カブールから80キロしか離れていないローガル州の首都プリアラムを制圧した。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、状況は制御できない方向へ向かっており、市民に深刻な影響を及ぼしていると述べた。

これまでに25万人以上が避難民となっている。

米軍を中心とした外国駐留軍が20年の軍事作戦を経て撤退すると、タリバンは一気に国内で進撃を続けて、勢力範囲を拡大してきた。2001年にタリバンが政権を追われて以降、アフガニスタンで培われてきた人権状況の改善が、一気に後退するのではないかとの懸念も出ている。

1990年代のタリバン政権下のアフガニスタンでは、女性は全身を覆うブルカの着用を義務付けられたほか、女子教育も10歳以上は制限された。また、公開処刑を含む残酷な処罰が横行していた。

こうした中、カナダ政府は、女性指導者や人権擁護活動家、記者など、危険にさらされているアフガニスタン人2万人超の移住計画を検討していると発表した。

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タリバンは13日、アフガニスタン第2の都市カンダハールと、近郊のヘルマンド州の州都ラシュガル・ガー、西部ヘラート州ヘラートを制圧。現在、アフガニスタンの州都の3分の1を掌握している。

アメリカ国防総省のジョン・カービー報道官は、直近のタリバンの攻勢を「憂慮している」と発言。しかし、カブールに脅威が差し迫っているのではという指摘には触れなかった。

アメリカ軍が外交スタッフの避難支援のために派遣する兵3000人の大半は、週末までにアフガニスタンに到着する予定だ。米軍は1日に数千人を首都カブールから、飛行機で脱出させるとしている。

米情報機関の最新分析では、タリバンは30日以内にカブールへの進攻を試みると予測されている。

在アフガニスタン米大使館は職員に対し、プロパガンダに利用される恐れのある機密文書や旗を焼却炉などを使って破壊するよう指示した。

イギリス政府も、アフガニスタンから出るイギリス市民を支援するため、短期的に兵約600人を配備すると明らかにした。在カブールのイギリス大使館スタッフは、少数の必須人員にのみ削減されている。

ドイツも同様の措置を取っているほか、デンマークとノルウェーは大使館を全面的に閉鎖した。

「市民が最大の代償を払う」

国連のグテーレス事務総長は、タリバンに戦闘を止めるよう呼びかけるとともに、国際社会にも武力による政権掌握は受け入れられないと明確にするよう訴えた。

「この紛争では日を追うごとに女性や子供への負担が大きくなっている。都市部での紛争が続ければ、市民が最大の代償を払うことになる」

グテーレス事務総長はまた、食料品や医薬品の供給は減少の一途をたどり、学校や診療所といった重要なインフラも破壊されていると指摘。国連はアフガニスタンの近隣諸国に、市民が安全にたどり着けるよう国境を開いてほしと述べている。

国連によると、この1カ月で1000人以上の市民が命を落としている。

画像説明, 赤がタリバン支配地域、赤い点はタリバンが制圧した都市。青がアフガニスタン政府の支配地域、黄色は係争中。(13日現在)

首都カブールで近郊の草地には、その場しのぎの避難民キャンプが作られている。市内にも、安全を求める市民がつめかけ、路上で寝泊まりしている。

国際団体「セイブ・ザ・チルドレン」によると、ここ数日だけでも推定7万2000人の子供が首都にたどりつき、道端や放置された倉庫などで野宿しているという。

家を追われた人を支援している学生のズハールさん(20)はBBCの取材で、「停戦してほしい、即時停戦し、戦いを止めてほしい。血だらけの子供や息子のために泣く母親を見ない日はない。これ以上見たくない」と話した。