【ジャンプ】高梨沙羅、W杯出場へ「国民の皆さまに励まされて元気になった」原田雅彦総監督
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前半戦が終わった北京オリンピック(五輪)について、日本選手団の伊東秀仁団長(60)と原田雅彦総監督(53)が13日、北京市内のメインメディアセンターで中間報告会見を行った。
スキーのジャンプ混合団体でスーツ規定違反により失格となった高梨沙羅(25=クラレ)について、伊東団長は「現時点ではケアを最優先したい。(日本オリンピック委員会として)抗議するか分からないが、必要な支援があれば検討して改善を求めていく」。原田総監督は「高梨選手は非常に責任感の強い選手。私としても、言葉もない状態です。しかしながら、あの結果以上にチームのメンバーが頑張って責任を果たせたことを誇りに思います」と神妙に話した。
また、原田総監督は高梨が次のワールドカップ(W杯)に向けて既に欧州へ入っていることを明らかにし「次のW杯に向けて選手村を離れました」。五輪後の女子W杯初戦は25日開幕のヒンツェンバッハ大会(オーストリア)となっており「今は欧州で準備に当たっています」と報告した。
自身も94年リレハンメル五輪のジャンプ男子団体で失速し、金メダルを逃した苦い経験がある。周囲に支えられ、立ち直ったことを踏まえ「団体戦でしたから彼女の気持ち、よく分かります。でも、たくさんの方に励まされた。チームのみんな、それから国民の皆さまに本当に励まされて元気になった。そしてW杯に出場する、元気な姿を見せることによって皆さんに報告したいと思っている、と思います」と高梨の胸中を推察し、期待を込めた。
伊東団長も、あらためて「責任感の強い選手だと思いますし、自分で背負い込んでしまっているところがあるかと思いますから、そこは『そうではない』と。起きてしまったことは仕方がないこと。今後、彼女がこれからもジャンプをまだやっていく上で、しっかりとスキー連盟とも話をしたり、仲間たちも含めて、全員でケアしていく方向です」と全力で支援していくことを約束した。【木下淳】
ジャンプ 高梨沙羅 “測り方が違った” 失格受け連盟に回答
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今月7日に行われたスキージャンプの混合団体で日本の高梨選手は、スーツの太もも周りが規定より2センチ大きかったとして失格となりました。 これを受けて全日本スキー連盟は、高梨選手に聞き取りをしたということです。 スキー日本代表チームの斉藤智治監督は「高梨選手は『今までのワールドカップと測り方が違った。もう一度、測り直してほしいと言ったが、聞き入れてくれなかった』」と回答していたことを明らかにしました。 また斉藤監督によりますと、通常は腕を広げて体から30センチほど離して検査を受けるということですが、高梨選手は「バンザイするように求められた」と話しているということです。 斉藤監督は「今後、ジャンプ競技というスポーツをクリアな大会にするためにも、今後の検査をフェアにすることが大切だ」と話していました。 全日本スキー連盟は北京オリンピック終了後、国際スキー連盟に対しスーツの検査のあり方などについて意見を添えた文書を提出する方針です。
混合団体 5人が失格 海外選手らも疑問
スキージャンプの混合団体を巡っては、日本の高梨選手以外にも今大会、ノーマルヒルの銀メダリスト、ドイツのカタリナ・アルトハウス選手など合わせて5人がスーツの規定違反で失格となりました。
当日の検査のしかたについて海外の選手やコーチも疑問を呈していました。
2人のスーツ規定違反があったノルウェーのクリスチャン・メイヤーコーチは「この日のスーツの検査は本当におかしい。厳しすぎるし、こんな試合がオリンピックなんてありえない」と怒りをあらわにし、同じくノルウェーのシリエ・オップセット選手は「検査の担当者は、これまでと全く違う方法で計測して、手続きも以前とは違った」と訴えていました。
また、オーストリアのシュトルツ選手は「何が起こっているのかわからない。内部ベルトが1センチ大きかったので規定に合わなかったが、そんなことは起こるはずがなかった。今となっては、それにも確信を持てないでいる」と地元メディアの取材に心境を語っていました。
一方、スーツをチェックした担当者は「私からすればコントロールルームで特にいつもと違うことはしていない。失格になった選手をとても気の毒に思うが規則は規則であり、すべての人に適用されるもの。それに従わなければこうしたことも起こることをあらかじめわかっておくしかない」と話していました。
「役目」はしっかり果たしていたよ…大学院に在籍する高梨沙羅に指導教授「一生懸命な姿に感動」 – オリンピック
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7日に行われた北京五輪のスキージャンプ混合団体で、4位となった日本チームの一員、高梨沙羅選手(25)(クラレ)は、弘前大大学院医学研究科社会医学講座に在籍する大学院生でもある。現在は休学し、競技一本に絞って取り組んでいる。今大会ではメダルに届かず試練が続いたが、弘前大で指導する中路重之・特任教授(70)は「一生懸命な姿に感動した」と最後まで全力で戦い抜いた教え子をたたえた。
高梨選手が弘前大で学び始めたのは4年ほど前。普段、世話になっているトレーナーに「スポーツ科学の勉強をしたい」と相談した際、中路特任教授を紹介されたのがきっかけだった。社会医学講座には、これまでも柔道の五輪金メダリスト・古賀稔彦さんや野村忠宏さんらが在籍していたが、現役のトップアスリートは異例だった。中路特任教授は「現役ながら勉強しに来るという意欲がすごい」と舌を巻いたのを思い出す。
高梨選手はまず研究生となり、オンラインで中路特任教授らから個人講義を受け、健康づくりを勉強した。講義では積極的に質問し、実際に大学を訪れることもあったという。中路特任教授は「真面目で学問を深く吸収しようとしている」と評価する。
高梨選手は2020年10月に大学院生となり、ほどなくして北京五輪に備えていったん学業を休むことに。五輪後は復学し、スキージャンプを科学的な視点で分析する研究を本格化させる予定という。
周囲の大きな期待を背負って挑んだ北京五輪では、個人ノーマルヒルが4位と、メダルまであと一歩だった。試合後、中路特任教授が「混合(団体)もあるから頑張れ」とメールすると、高梨選手からは「皆さんにお世話になったのに申し訳ないです」との返事があったという。
混合団体では、高梨選手は1番手に起用された。1回目に100メートルを超える大ジャンプを見せたが、スーツの規定違反で失格に。2回目は、着地した瞬間から涙があふれ出し、しゃがみ込んで泣き崩れる姿が中継された。弘前市の自宅でテレビ観戦していた中路特任教授は「本当はそこまでしなくていいのに、自分の責任を感じてしまったのだろう。誠実な人柄が表れていた」と語る。
高梨選手にとって、北京五輪は悔いが残る結果となった。中路特任教授は「五輪を糧に大学でどんどん勉強し、それも糧にしてリベンジしてほしい」とエールを送る。そして、こう続けた。「アスリートの宿命の一つは感動を与えること。メダルは取れなくたって、その役目はしっかり果たしていたよ」
2回目、泣いた高梨沙羅 「笑って」と思っていた記者が感じたこと
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もっと、楽しめばいいのに。もっと、笑えばいいのに。スキージャンプ女子の高梨沙羅を取材していて、ずっとそう思っていた。
高梨本人も分かっている。「入り込んでしまうタイプなんですよね」。テレビカメラが寄ってきたときに、笑って手を振ることもある。でも競技中はいつも無表情。むしろ、しかめっ面に見える。舞台が大きくなればなるほど、その傾向は強くなった。
対照的だなと思った選手がいる。2018年平昌五輪で金メダルだったマーレン・ルンビだ。その数カ月前のワールドカップ(W杯)で母国ノルウェーのリレハンメルを訪れた際、ナイターの試合日の昼間に取材に応じてくれた。
「一番大事なのは、いい人生…
高梨沙羅は五輪選手村を離れ欧州へ 原田雅彦総監督「たくさんの方に励まされ元気になった」
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北京五輪のスキージャンプ混合団体で1回目ジャンプをスーツ規定違反により失格した高梨沙羅(25=クラレ)がすでに選手村を離れていることを、日本選手団の原田雅彦総監督(53)が明らかにした。
13日の会見に出席した原田総監督は、混合団体の結果を受けて「高梨選手は非常に責任感の強い選手の一人。彼女の気持ちを考えると言葉もない。しかしながらチームのメンバーとして最後まで責任を果たそうという姿勢が見えた」。その上で「彼女の置かれている状況を考えると、スキー連盟と連携し合いながら心のケアに全力でサポートしたい」と語った。
その一方、原田総監督は「(高梨は)次のW杯に向けてすでに村を離れて欧州に行った」と明かし「たくさんの方に励まされた。チームのみんな、国民の皆さまにも。そして元気になった。W杯で元気な姿を見せたいと思っていると思う」と述べた。
3度目の出場となった高梨は今大会、女子ノーマルヒル、混合団体いずれも4位。自身の失格でメダルを逃した混合団体後の8日には、インスタグラムに謝罪文を投稿していた。
高梨沙羅の “悲劇” で検査ルール改訂へ オール機械か、規制緩和か=独メディア
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高梨沙羅(25=クラレ)の〝悲劇〟を繰り返すな――。北京五輪のスキージャンプ混合団体でスーツ規定違反で5人の女子選手が失格した問題を受けて、仰天の改革計画が浮上している。
スポーツ専門放送局「ユーロスポーツ」ドイツ版は、今回の問題に関する最新情報を特集。その中で、2002年ソルトレークシティー五輪団体金メダルなどスキージャンプ界の大スターとして知られるマルティン・シュミット氏(44)による見解を報じた。
まず、検査のタイミングについて競技後の抜き打ちではなく競技前への変更を求める声が出ているが「ジャンプの直前に、2階にいるすべてのジャンパーをチェックすることは問題があり、実行できない」と断言。競技前のスーツ検査は選手たちに心身両面で支障が出る可能性があり、現実的ではないとした。
その上で「最も明確な解決方法は3Dスキャナーだ。導入すれば、明確な基準があり、人的な要素を除くこともできる」と提言。今回は女性検査官のアガ・ボンチフスカ氏による審査方法の変更や、男性検査官のミカ・ユッカラ氏による〝介入〟など人間の手による検査の限界が露呈しているだけに、最新テクノロジーを用いてミスや偏りのない検査を実現させようというわけだ。
小規模大会における導入には技術的な問題が残されているものの国際スキー連盟(FIS)ではすでに検査機械化の検討を始めており、世界的スターでドイツスキー協会(DSV)でも影響力のあるシュミット氏の提案を受けて一気に進展することになりそうだ。
さらにシュミット氏は、スーツの規制緩和もブチ上げる。「ジャンパーにとって何がいいのかを考える必要がある。制御するための明確な最低限の基準は必要だが、一方でチームにより多くの自由を与えることができる領域もある」と力説。競技に影響を与える規制は維持しつつも、より選手の力を発揮しやすい規定に変更するべきと主張し、具体的には「肩の部分にもう少し〝空気〟があればスキージャンプに適している。股の部分は非常に正確にチェックする必要がある」と提案した。
重要なのは、今回の騒動を教訓にしてこの先どのように生かすのか。高梨の失格問題が一石を投じ、ジャンプ界全体を動かすことになりそうだ。